数学を学校以外のどこで使うのか

スマブラパックマンのベルに当たった後、その硬直中に空上を当てられたとする。イタイ!もしも空上の当たった方向とベルの当たった方向が反対向きだったとしたらキャラの状態によっては真上に吹っ飛ぶことになる。理由はベルと空上の吹っ飛ばしの合成されたベクトルが「硬直中に食らった攻撃のベクトル」として計算されるためである。この考え方は直感的に理解できるものだし一度そういうものだとわかれば特に計算をせずとも勘で物事が飛ぶ方向がわかるようになる。パックマンのベルがどういう動きをするものなのかわからない人は以下の動画の最初の6秒を見てほしい。「パックマンのベル」とは当たるとしびれるアイテムだってことを知っておけばよい。

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さて、ここでベルの攻撃ベクトルを完全に落とされた方向に依存するものとしたらどうなるかを考えてみる。上から来たベルに当たったらそのまま自分は下に吹っ飛ぶし、右から飛んできたベルに当たったなら硬直が解けた後に左に向かって飛んでいくものとする。現実と同じ。この仕様にした方がわかりやすいし現実に近い。こんな仕様でも面白いんじゃないの?否。こんな仕様にしてしまってはゲームがぶっ壊れてしまう。例えば上からベルを敵の上に落として敵の硬直中に上スマを放つ。ベクトル計算がわかる人ならすぐにどうなるか予測できるであろう。ベルの攻撃が鉛直下向きに加わり上スマの攻撃が鉛直上向きに加わる。攻撃の吹っ飛ばしは上下で打ち消し合って0となり、敵は吹っ飛ばなくなる。そのため大きいダメージと再びの長~い硬直が敵を襲うことになりこの後にまた最大溜めの横スマなどが確定で入ってしまう。大変なことだ。ドラゴンボールのようにその場にとどまっている相手をいろんな方向から攻撃するという謎コンボが生まれてしまう。クソゲー!

Kirby - Ultimate Frame Data

上のサイトはスマブラキャラの各種技の判定の範囲と発生の速さ、硬直の長さや吹っ飛ばしの向きまですべての情報をGIF付きで載っけている優秀なサイトだ。そこを見ると、円状の攻撃範囲にかならず白い線が十字架なり直線状なりに生えているのがわかる。これは吹っ飛ばしの方向を示している。白い線の場合、当たったら必ずこの向きに吹っ飛ぶという意味だし、十字架になっているときはわりといろんな方向に飛ぶという解釈でいい。これらの「吹っ飛び線」が必ず打撃技には存在している。しかし困ったことにこの線をみただけでは吹っ飛ぶ方向しかわからないためどの方向の吹っ飛ばしが一番強いのかということがわからない。もちろんこれはゲームの情報なのでやりゃあわかる話なのですが、もうちょっと情報が欲しい人のためになんと攻撃判定の円が色分けされているのです!赤は本当て、ピンクは弱当てなのだ!わかりやすい。とってもわかりやすい。しかしベクトルを世界中の人が理解していたら攻撃判定の円とともに矢印を書き込めば吹っ飛ぶ大きさも向きも同時にわかるというものだ。冒頭にあげたパックマンの例も「硬直中の攻撃ベクトルは硬直後に合成されてキャラに加わるためキャラがはめられないためにベルの攻撃ベクトルは当たった方向に依存しない」の一言で済む。しかも正確に伝わる。
数学を勉強すると正確に物事を予測できるようになる。そのうえ複雑な事象を説明するための言葉が共通言語になる。数3を履修した者同士であれば「これは重積分と同じ考え方だよ」の一言ですむものが、履修していない者同士だと「線を積み上げて面を作って、その面を積み上げてさらに立体を作ることと同じ考え方をしているんだよ」というふうに長く説明しなければならなくなる。しかもこの説明で伝わるかどうかは怪しく、たいていは何度か説明の仕方を変えて相手に伝えなければならなくなる。苦労するのだよ。そこに労力かけてると疲れるし。時間だるいし。だが勉強するメリットはそこで終わらない。「重積分の考え方であるならばこれを二つ足し合わせても問題はないんだね」というように、発展する方法やこの先どのようなことが起きるのかのある程度の予測もできるようになる。素晴らしい。重積分を理解していれば似たようなものの処理の仕方や定量的に表す方法までわかってしまうのだ。生産的な時間が過ごせる。数学ってすごい!勉強ってすごい!

10月も終わりかけ、季節はもう秋。空気も乾燥し風邪に気を付けなければならない。あと鼻血にも気を付けなければならない。私は鼻炎持ちだ。粘膜がとても弱いので幼いころより秋と冬は毎朝鼻血が出るものと決まっている。そんな鼻血だが、誤って服やシーツについてしまうこともあるかもしれない。汚れた服やシーツを洗濯機に入れて、果たして鼻血は落ちるでしょうか?もちろん落ちません。理由は洗剤の仕組みを家庭科できちんと理解していればわかるはずだ。洗濯用洗剤は親油基と親水基の組み合わさったものである。どうやって汚れを取るかというと、繊維についた皮脂を親油基が丸めとり、親水基が水に浮かすことによって繊維と油汚れを分離させているのだ。血は油汚れではないため洗濯用洗剤を多めに入れても落ちはしない。血が油じゃないなんてどうやってわかるんだ!という人がいるかもしれないが、これまた保健体育や生物起訴でやる内容のため高校の授業をきちんと聞いていれば理解できるはずだ。血液はいくつかの成分が混ざったものでできており、そのどれもが油ではない。化学をとっていた人は油の構造も理解しているため油が血液に溶け込んでいないことはここからも理解できる。結論から言うと鼻血を落とすには大根の汁が一番良いのだが、言いたかったのは学校の授業を聞いていれば「一度洗濯してみて鼻血が落ちるかどうか見る」という工程を踏まずに予測だけで洗濯しても意味がないことがわかるということだ。さらに言えば大根おろしが一番よいという話を聞いた時に、きっと大根の酵素がなにかはたらいているのだろうということも理解できる。家庭科もすごい!勉強ってすごい!

世の中の仕組みを解明するには残念ながら高校レベルの知識が必要になるが、その基礎をつくる中学校の内容も十分に面白い。中学で習う一次関数は経済学の基礎理論を形作っている重要な一部だし大学に入ってやるモデルは一次関数を用いていることが多い。一次関数様様だな。高校の内容は学問の幅を広げて興味関心のある分野を見つけるのに最適な場所だ。といいたかったけど、全部面白そうに見えてくるから最適とは言えないかもしれない。自分の通っていた高校の先生たちには感謝してもしきれないな(ただし英語の教師を除く)。