髪が長い人

私は今髪の毛が非常に長い。男性だけど髪の毛がうなじより下まで伸びている。幸い母親のサラッサラストレートの髪質を受け継いだので絡まったり寝ぐせで苦しむことは全くなく、むしろ髪の毛が首筋に触れる感触が心地よい。ただこれを言うと周りのみんなは短髪の頃のほうがかっこよかったとかいうのでちょっと悲しい。事実だから仕方がないけど、たしかに短髪のほうが自分には合ってるしそのころの写真を見ると正直かっこいいなって思う。とはいえ自分の顔は常に見えるわけではないのでそんなことは関係ない。24時間鏡が目の前にあるのならば髪を切るけど、サラサラの髪は触ってて気持ちがいいしなにより風呂上がりの乾かしたての髪はすごく幸せになれる。灯りに透かしてみると透けて茶色く見える細い髪1本1本が束になって質量を増していく感じも髪の毛と首筋の間の暖かな空間もまだ手放したくない。生まれ変わったら女性になりたいね。

もともと髪の毛を伸ばし始めたのは散髪代が浮くからである。あとは新世紀エヴァンゲリオンの加持さんみたいな長髪のかっこいい男の人に憧れていたから。髪質が細くてサラサラのストレートだから加持さんみたいにはならなかったけど、その代わりにいろいろなことを知った。
まず女性が服を脱ぐ描写で裾から腕をクロスさせて上向きに脱ぐ理由がわかった。今までみたいに襟をつかんで引っ張って脱ごうとすると髪が数本引っかかって痛い。髪を襟の上に払って出してから下から脱ぐと綺麗に脱げるし引っかかることもない。
ヘアピンをたくさんつけていた小学生、中学生のクラスメートの気持ちがわかった。頭蓋の前半分から生えている髪の毛は自然と前に落ちてくるし、ヘアゴムで結ぶにしては少々長さが足りない場合が多い。勉強をしているときに顔にかかる数本の髪の毛のなんと鬱陶しいことか。ヘアピンで前髪のなり損ないたちを牽制しないとやっていられない。家の中だとヘアバンドとか結ぶ位置を変えたりとか工夫の使用があるがそれらはビジュアル度外視なので外出時はヘアピンが活躍する。
女性にラーメン好きがあんまりいないのもわかったかもしれない。ラーメンとかスープとか真下を向いて飲むものには髪の毛が入る。否が応でも入る。そしてそれに気が付くのは口の中に髪の毛が入ったとき。神が入らないようにするのは本当に大変だしヘアアレンジをしている方ならなおのこと工夫の選択肢も狭まるのでラーメンは気軽に行けるものではなくなってしまう。
お洒落をする理由が分かった。長髪にするとささいな髪の乱れでも目立つし、髪を整えていない姿の醸し出す「だらしなさ」は男の比じゃない。髪型が第一印象に与える影響は髪が長くなればなるほど増す。そのため外出というのは絶対に容姿を整える機会となる。コンビニに行くときでも鏡を見るし髪は結ぶ。外見に割く意識と時間が0から100にまで増えた気分。しかし、面倒だと思っていたのでもだんだんと慣れていきいつしか無意識のうちにできるようになってくる。そうすると今度は一つ結びしかしていないことがつまらなく思えてくる。なんでって、少しでも外を歩けばいろんな髪型をした女性がいるからだ。可能性があるとわかってしまっている以上それを試してみたくなってしまうのだ。ヘアアレンジという言葉を覚え、検索履歴がホットペッパービューティーで埋まっていく。ちょっとでも検索をするとわかるのだが、髪型を変えたとしてもそれが服装とあっていなければ整って見えないのだ。そうするとコーディネートの種類、服装の系統やシーン別着こなし術などのサイトにまで手が伸びる。幸か不幸か私は男なのでここで少しずつ興味が失せてきた。長髪に似合うコーディネートと調べても女性服しかヒットしないしそれらは見ているだけで十分華やかだしかわいらしいので自分事としてとらえられなくなっていったのだ。そのかわり自分のやっているソシャゲ、シャニマスに登場するアイドルたちの服装と髪型についてより一層注意を払って見るようにはなった。私の担当アイドルである黛冬優子の髪型は姫カットと呼ばれるものらしい。

長髪にするだけでここまで意識が変わると思っていなかったし自分の髪の毛が恵まれたものであることも知れてよかった。もう少しだけ遊んでから単発に戻そうと思う。化粧について調べだすのも時間の問題かもしれない。

 

注意:性嗜好に変化はなかった。変わらず女が好きだしTSにも興味はない。ただ女装百合は少し面白いなと思ってしまった。